星のソムリエがお届けする、天体コラム Vol.3『お月さまを愛でてみよう』
夜空にぽっかりと浮かぶお月さまをゆっくりと愛でたことはありますか?
毎日の仕事に追われてそんな時間がなかったり、子育てのさなかにそんな余裕がなかったり。。。お気持ちは分かりますが、たまにはバーボンを片手に(未成年はプリンアラモードを食べながら)お月さまを見てみるのもなかなか粋ではないでしょうか。
そのトリガーになるタイミングが9月15日にやって来ます!
そうです「仲秋の名月」の日です。お月さまの難しいお話や天体運行の理論は別のサイトを参照いただくとして、ここでは知って得するお月さまネタを交えて、お月さまが見たくなるトークをしてみようと思います。
質問:月の大きさって地球と比べてどのくらいあると思いますか?
① 2分の1
② 4分の1
③ 6分の1
正解は「②の4分の1」になります。
この値を見て意外と大きいなと思われませんでしたか?
この質問をすると多くの方がそのように感じられるようです。実際に他の惑星(火星、木星、土星など)の衛星と比較しても、その大きさの比率はかなり大きいのです。
このことから地球は月を他の惑星の衛星のように宇宙から飛来してきた小天体を捕獲したのではないと推測されています。月の起源は、何十億年も前の古代地球に大きな隕石が衝突して、その衝撃で地球からちぎれて出来たとされる「ジャイアントインパクト説」が現在では有力な説になっているのです。ちなみにお月さまの直径は約3,000kmです。
質問:距離はどのくらい離れているでしょうか?
① 10万km
② 20万km
③ 40万km
正解は「③の40万km」です。
一口でさらっと40万kmといってもなかなかその距離感が分かりづらいですよね。例えば光の速さは1秒間に30万km進むので、地球からお月さままでは約1.3秒かかることになります。
じゃあ、もっと身近な乗り物で計算すると、例えば新幹線。。。時速250kmで乗り続けると、400,000km÷250km=1,600時間 1,600時間÷24時間=66日。
つまりお月さままでは新幹線でも2か月ほどかかる遠い距離にあることが分かりますね。ちなみに2016年9月15日午後8時の仲秋の名月までの正確な距離は、368,217kmとなります。
お月様のクレーター「ティコ」
望遠鏡や双眼鏡をもしもお持ちでしたら、ぜひともそれらを使ってお月さまを眺めて見ましょう。 肉眼で見ていた時よりもかなり眩しく感じられますよね。せっかくだからそのまま頑張ってしっかりと見ていただくと、表面にでこぼこした丸い地形が一面に広がっていることが手に取るように分かると思います。それがクレーターです。
たくさんのクレーターの中でもひときわ大きく目立ち、明るくて長い白いスジ(光条)を伴ったクレーターに気が付きませんか?これは、「ティコ」という名前が付いたクレーターです。「ティコ」は直径が85kmです。約400,000km離れた地球から月面上の直径85kmのクレーターを愛でるなんて、広大な宇宙の神秘的な一端をちょっと垣間見るようでワクワクしませんか!
このお月さまの写真は筆者が自宅(東京都)のベランダから撮影しました。
「ティコ」は月面の中央下部に位置しています。
※撮影データ:1,890円の手作り天体望遠鏡+iPhone
コラム筆者プロフィール
村上将之
Masayuki Murakami
1963年 魚座生まれ。
東京都国立市在住。
「星のソムリエ」「星空宇宙天文検定2級」を取得。
ネイチャーショップKYOEIにて情報企画業務やブログ制作のかたわら、「NHK学園講師」として星空講座のレクチャーや南十字星ツアーなども手掛けている。そのほか幼稚園や小学校や学習館などでも星空教室を開催。最近はふたたびバードウォッチングにもはまり、日本野鳥の会の探鳥会にも出没している。