星のソムリエがお届けする、天体コラムVol.7『冬の星座』
春夏秋冬でどの季節の星空が一番きれいに見えると感じていますか?やっぱり冬の星空ですよね。実際に冬の星座たちの中には、全部で7個もの明るく輝く1等星が含まれています。おまけに冬の気圧配置のおかげで大気が大きく揺らいでいるので、見た目にも星々がキラキラと瞬いていて、とても賑やかに見えます。ちなみに全天で1等星は21個あります。
冬の星座を代表するオリオン座の「ベテルギウス」と「リゲル」
冬の代表的な星座と言えば、そうオリオン座ですね。オリオンはギリシャ神話に登場する狩人の名前です。小さな子供から大人までみなさんが知っている星座の名前であり、おまけに簡単に見つけ出すことが出来る星座なので、街灯が多い東京でも冬の夜の南の空にその雄姿を見ることが出来ます。オリオン座には贅沢にもなんと2つの1等星が含まれています。
肩の位置には赤色巨星「ベテルギウス」、足先には青白い「リゲル」という名前の1等星があり、とても煌びやかな感じがします。腰のベルトにあたる位置に三ツ星と呼ばれる直線的な並びで目立つ2等星が3つ。そしてその三ツ星の下に、こんどは縦に直線的に並んだ小三ツ星を見つけることが出来ると思います。ここには特筆すべき大きな星雲が存在しています。その名もオリオン座大星雲。眼視で見ることも可能ですが、できれば双眼鏡や望遠鏡で見ていただいた方がよりリアルに見えて感動も大きいと思います。鳥が羽を広げたような姿が鮮明に見えることでしょう。
冬の大三角をつくる「プロキオン」と「シリウス」
オリオン座の東隣には狩人オリオンが引き連れた2匹の番犬、おおいぬ座とこいぬ座がいます。おおいぬ座には「シリウス」、こいぬ座には「プロキオン」という1等星が含まれています。シリウスは太陽を除いて全天恒星で一番明るい星なので、おおいぬ座を探すときはシリウスを見つければ簡単に探せます。こいぬ座はプロキオンと3等星の星の2つで構成されている小さな星座です。筆者は前から思っているのですが、2つの星だけでどうやってこいぬの姿を想像すればよいのか未だに分かりません!
仲良し双子の「カストル」と「ポルックス」
ふたご座には毎年12月中旬に見られるふたご座流星群の放射点があります。この流星群は3大流星群のひとつで1時間あたり50個程度の流星が流れる、なかなか見ごたえのある流星群です。今年の12月は月明かりもほとんどなく、絶好の観測条件となります。ふたご座は2等星「カストル」というお兄ちゃん星と1等星「ポルックス」という弟星が仲良く並んで見えるので、わりと簡単にその姿を認識することが出来ると思います。
おうし座の目は赤い!?「アルデバラン」
おうし座には雄牛の目の位置に赤い色をした1等星「アルデバラン」があます。余談になりますが、ダーツゲームの的の中心部分が赤色に塗られているのはご存知ですか?じつはこの的の中心部分はブルズアイ(雄牛の目)と呼ばれています。それから雄牛の背中の位置には、すばる星(谷村新司さんの歌や自動車メーカー名)がひとかたまりの星の群れとして見えます。双眼鏡で見ると息をのむほど綺麗な無数の星々が目に飛び込んでくるのが見えてきます。この星々の群れは、散開星団といわれる恒星の集団の一種です。
最北部に位置する一等星「カペラ」
ぎょしゃ座は子ヤギを抱いた馬車を操る馭者のおじいさんの姿を形どっています。が、なかなかその姿を想像するのは難しいかもしれません。ところがぎょしゃ座の五角形のかたちはよく目立ちます。だから多くの天文ファンはぎょしゃ座といえば五角形と覚えていると思います。そのぎょしゃ座には「カペラ」という黄色い1等星が輝いています。この「カペラ」は全天21個の1等星の中ではもっとも北に位置しています。またぎょしゃ座の五角形の中には大きな散開星団が3つもあって、双眼鏡で見るとすぐに認識することが出来ます。これは圧巻なので、ぜひともチャレンジする価値ありと思います。
豪華な星の競演についつい見とれてしまいますが、くれぐれもしっかりとした防寒対策は忘れずに!
煌めく冬の星空を存分に楽しんでください。
コラム筆者プロフィール
村上将之
Masayuki Murakami
1963年 魚座生まれ。
東京都国立市在住。
「星のソムリエ」「星空宇宙天文検定2級」を取得。
ネイチャーショップKYOEIにて情報企画業務やブログ制作のかたわら、「NHK学園講師」として星空講座のレクチャーや南十字星ツアーなども手掛けている。そのほか幼稚園や小学校や学習館などでも星空教室を開催。最近はふたたびバードウォッチングにもはまり、日本野鳥の会の探鳥会にも出没している。