2023年4月の星空トピックス
春の夜空は一等星の数が少なくなりますが、優しく光る星と春の気候が相まって穏やかな星空が楽しめます。日暮れ後の西の空には、冬の星座がまだ残っており、高い空には火星、低い空には金星が見られます。4月下旬になると、月がこの二つの惑星に近づきます。また、水星は4月12日(水)に太陽から最も離れる場所にあるため、観察の好機を迎えます。そして、4月20日(木)には、日本の一部の地域で部分日食が起こります。
夕方の空に水星を見つけるチャンス!
水星は太陽に最も近い惑星であり、見えづらい天体のひとつです。4月12日(水)に太陽から最も遠い東方最大離角となるため、この日の前後は、日が暮れて暗くなった西の低空で見つけやすくなります。水星よりも少し高い位置で輝く金星を目印にすると探しやすくなりますが、観察は低空に雲のない、良く晴れた日が最適です。夕焼けが残る空の水星は、双眼鏡を使うと探しやすくなります。双眼鏡を使う際には太陽を見ないよう、注意しながら観察を始めてください。
日本の一部地域でも見られる注目の天体ショー
4月20日(木)の午後、日本では関東より以西の太平洋側の地域で部分日食が起こります。日食とは、地球から見た太陽が月の背後に隠れる現象のこと。これは、月が太陽の前を横切るため、月によって太陽の一部(または全部)が隠されるときに起こります。
前回、日本で日食が起こったのは2020年6月21日でした。次に日本で日食が起こるのは2030年6月1日で、日本全国で部分食、北海道の大部分では金環食となります。日食は地球全体で見てもごく稀な天体現象で、日本で見られるチャンスはめったにないため、注目が高まっています。
日食を正しく安全に観察するために
太陽は、たいへん強い光と熱を発する天体のため、ほんの数秒であっても肉眼で直接太陽を見ると、目を痛めてしまいます。たとえ太陽が欠けていても、また、地平線近くで光が穏やかに感じることがあっても、光と熱の強さは変わりません。日食を安全に観察するには、「ピンホールを利用する」、「日食専用のグラスや遮光板を使う」、「望遠鏡を使って太陽投影板に投影する」などの方法があります。必ず、正しい方法で安全に観察してください。
【絶対にやってはいけないこと】
●肉眼で見る
●望遠鏡や双眼鏡は、太陽の光や熱を集めて強くするため、肉眼で太陽を見る以上に危険です
●色付き下敷きやCDを使う(太陽観察に対応した下敷きを除く)
●フィルムの切れ端を使う
●すすをつけたガラス板を使う
●サングラスやゴーグルを使う
●日食グラスを使って望遠鏡や双眼鏡をのぞく
月がふたつの惑星へ接近
月末には、夕方の西の空で高度が高くなってきた金星と、火星が月に相次いで近づきます。まずは、4月23日(日)に、月齢3の細い月が金星に近づいて見えます。月と金星はいずれも明るい天体のため、非常に目を引く光景が期待できます。3日後の4月26日(水)には、月が火星に最接近します。火星の明るさは金星ほどではありませんが、赤っぽい特徴的な輝きは、明るい月のそばでもすぐに探せそうです。また、月の近くには、ふたご座のポルックス、カストルも輝き、にぎやかな空が楽しめることでしょう。
◆4月の満月は
4月6日(木)
◆4月の新月は
4月20日(木)