2023年3月の星空トピックス
冬の星座は真夜中までに西に傾いていき、しし座を筆頭に春の星座が夜空を駆け上っていきます。21日(火)には春分を迎え、この日を境に昼の時間がだんだん長くなり、季節は春へと向かっていきます。
3月は宵の明星・金星が夜空の主役と言えるほど、さまざまな天体現象で楽しませてくれます。
日に日に遅くなる日の入りの後、金星は西の空で徐々に高度を上げて目立つようになり、2日(木)には木星と、24日(金)には細い月と接近、九州の一部地域と沖縄では金星食が見られます。
また、宵の天頂近くの空には、昨年末地球に接近した火星が輝いています。
夕方の空 明るく輝き寄り添う二惑星
日の入り後の空では、2月から金星と木星が明るく輝き、ひときわ目を引く光景で楽しませてくれています。日々高度を下げる木星とは逆に、金星の高度は上がり徐々に近づくように移動し、2日(木)には、最も接近します。
日の入から30分ほど経過したまだ明るい空でも、約マイナス4等の金星とそのすぐ隣に並ぶマイナス2等の木星は、すぐに見つけることができるでしょう。時間が進むとふたつの惑星は低空に移っていきますが、圧倒的に明るい二惑星がぴったりと寄り添い、薄明の空を彩ります。
金星と木星の離角(見かけの間隔)は約30分角、これはちょうど月1個分を間に挟む程度の間隔です。双眼鏡や、低倍率の望遠鏡で見ても、視野の中で同時に観察することができます。
九州や沖縄では金星食に注目!
24日(金)には、日の入り後の西の空で明るく輝く金星に、細い三日月が大接近して見えます。繊細な細い月と宵の明星の共演は、数々の月と惑星の接近の中でも際立って美しいと言われています。
九州の南西部から南西諸島にかけての地域では、月が沈む直前に金星食が起こり、月の暗い輪郭に金星が隠れていく様子を見ることができます。きわめて低空で起こる現象ですので、水平線まで見渡せるような場所で観察してください。
惑星食が日本から見られる機会はそれほど多くはないため、是非注目してみてください。
ただし、観察場所がわずかに変わると見られる状況も予報時刻も変わるため、各地の金星食の予報時刻を事前に調べておきましょう。
長崎市と那覇市では金星食の様子が異なります。長崎市では、21時18分頃に、地平線のごく近くにある月の縁に金星の一部がかかります。そのまま金星全体が月に隠されることはなく、21時19分頃に月から離れていきます。一方、那覇市では20時56分頃に金星が月の暗い側から潜入します。望遠鏡を使うと、金星が月に少しずつ隠されていく様子を観察することができます。そのまま月の高度が下がり、21時22分頃に金星が月に隠されたまま、共に沈んでいきます。
夜更けの空高く 寄り添い輝く赤い惑星と月
昨年末、地球に最接近した火星は、その頃に比べると随分と輝きが落ちてきたとはいえ、1等星として冬の星たちと競うかのように赤く輝いています。2022年後半から順行、逆行、また順行とおうし座の中を動き回っていましたが、3月下旬にはふたご座の足元へと移動していきます。28日(火)の日の入り後は、空の高いところで、上弦直前の月がそのすぐ近くに並んで見えます。
日本から見ると、火星と月が最も近づいて見えるのは29日(水)0時頃。その後、1時頃には火星と月は並んだ状態で沈んでいきます。
◆3月の満月は
3月7日(火)
◆3月の新月は
3月22日(水)