2022年9月の星空トピックス
残暑が厳しい時期とはいえ、暦のうえではすでに秋を迎えた9月は、日々形を変えながら夜空を移動していく月と、その近くに見える天体に注目しましょう。10日(土)の中秋の名月前後、月は土星や木星の近くに見え、さらに17日(土)には、火星の近くで見ることができます。9月上旬〜中旬頃の深夜から明け方には、火星の近くで輝くおうし座の1等星アルデバランが見られ、ヒアデス星団も一緒に楽しめます。木星は27日(火)に衝となり、見ごろを迎えます。
今年の中秋の名月は満月
「中秋の名月」とは、太陰太陽暦の8月15日の夜に見える月のことを指し、今年は10日(土)です。 中秋の名月をめでる習慣は、平安時代に中国から伝わったと言われており、日本では農業の行事と結びつき、「芋名月」と呼ばれることもあります。今年は、中秋の名月と満月が同じ日ですが、以下の理由から日付がずれることもしばしば起こります。
・中秋の名月は太陰太陽暦の日付(新月からの日数)で決まるが、満月(望)は、太陽、地球、月の位置関係 で決まる。
・月の公転軌道が楕円形であり、新月(朔)から満月(望)までにかかる日数が13.9日から15.6日と大きく変 化する。
また、太陰太陽暦の9月13日の夜を「十三夜」と呼び、日本ではその夜にもお月見をする習慣があります。十三夜は、「後(のち)の月」「豆名月」「栗名月」とも呼ばれ、今年は10月8日(土)です。
明るく輝く月と2惑星が大接近!!
10日(土)の中秋の名月の前後にかけて、月が土星、木星に相次いで接近します。月は8日(木)には土星の近くに見えますが、11日(日)には木星の近くにまで移動します。満月前後の明るい月と輝く2つの惑星の共演にぜひ注目してください。
夜空を彩る2つの赤い星と星団
9月中旬、真夜中の東の空には、明るさが0等級に達した赤く輝く火星の姿を見られます。火星の少し右側には、オレンジ色に輝くおうし座の1等星アルデバランがあり、火星よりもやや暗いものの、赤っぽい2つの星が並んで輝く様子は際立って美しく見えます。アルデバランの周辺には「ヒアデス星団」というおうし座の顔を形作る星の集団を見ることができ、V字型に並んだ暗い星を中心に、肉眼で見ても星がまばらに群れている様子がわかります。
16日(金)の夜空には、月、火星、アルデバラン(+ヒアデス星団)が10度ほどの範囲にあり、また月よりも少し高い位置には、プレアデス星団(すばる)があります。真夜中を過ぎて日付が17日(土)に変わった頃が月の位置が高く、観察にはおすすめです。この日は下弦前の月が近くにあるため、星団の星々を肉眼で見つけることは難しいかもしれませんが、ぜひ、双眼鏡を使って観察してみてください。
木星の観察シーズン到来!
太陽系最大の惑星、木星が27日(火)に「衝(しょう)」を迎え、これからが見頃となります。衝の頃の木星は約マイナス3等の明るさで輝き、明るい星の少ない秋の星座の領域で、大きな存在感を放っています。衝とは太陽系の天体が、地球から見て太陽とちょうど反対側になる瞬間のことです。衝の頃の惑星が明るく見える理由として、地球との距離が近く見かけの直径(視直径)が大きくなっていること、光っている部分を正面から見るため陰になる面積が少ないことなどがあげられます。また、日の入りの頃に東の空から昇って真夜中に南中し、日の出の頃に西の空に沈むため、一晩中観察することができます。
望遠鏡を使って木星を観察すると、木星の表面には何本かの縞模様(しまもよう)が見えます。また、木星本体から少し離れたところには、4つの衛星が見えます。イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが発見したことから「ガリレオ衛星」と呼ばれており、ガリレオ衛星は木星の周りを公転しているため、時間が経つにつれて位置関係が変わっていく様子を観察することができます。
◆9月の新月は
9月26日(月)
◆9月の満月は
9月10日(土)です