2022年7月の星空トピックス
すっかり夏の陽気で迎えた7月。星空では天の川と並ぶ夏の夜空の風物詩、夏の大三角が東の空に、さそり座が南の空に見えます。深夜になると東の空から惑星が昇り始め、数珠つなぎのように明け方の空を横断します。6月に比べて水星は太陽に近づいたため、肉眼で見ることができるのは金星、火星、木星、土星です。今月は、今年一番大きな満月「スーパームーン」のほか、火星が月に隠される「天体食」にも注目です。刻々と星空が移り変わっていくスピード感をぜひ感じてみてください。
「さそり座δ(デルタ)星」が月で隠れる瞬間を観察しよう!
10日(日)の夜、南西の空で、さそり座の頭部に輝くδ(デルタ)星(2等星)が月に隠される現象が全国で見られます。このように、地球の周りを公転する月が手前を通り過ぎ、天体を隠す現象を、月による「掩蔽(えんぺい)」あるいは「星食」と言い、夜空ではいつも何かしらの星の掩蔽が起こっていると言えますが、比較的目立つ明るい恒星で起きる現象は、観察のチャンス。恒星が月縁に入り込む瞬間(潜入)や、月縁から出てくる瞬間(出現)に注目してみましょう。
上弦から満月に向かう月齢11の明るい月でも、潜入は月の光っていない縁(暗縁)で起きるので、比較的見やすくなります。一方、光っている縁(明縁)からの出現は、恒星と月との輝度差(明るさの差)が大きいため、望遠鏡や双眼鏡で観察するとわかりやすいでしょう。
星食は、天球上の月の通り道(白道)が近い、黄道付近の恒星でしばしば起こります。今年5月17日(火)に起きたさそり座δ星の食は、満月直後で月のほぼ全面が光っていたため、まぶしすぎて恒星を見つけるのは難しかったかもしれません。さそり座δ星は、2.3等から1.6等程度の範囲で不規則かつ急激に明るさが変わる変光星です。これは、高速で回転する恒星から放出されたガスが、しばしば恒星の赤道周囲に円盤を作ることで光度が変化するためとみられています。まれに1等台の半ばまで明るくなると、いつもの印象と違ったさそり座を観察することができるでしょう。
7月14日(木)は「スーパームーン」
7月14日(木)に迎える満月は、今年もっとも地球から最も近い位置でお目見えする「スーパームーン」。
2021年のスーパームーンは5月26日に見ることができました。2020年には4月8日に観測されており、スーパームーンの周期は、だいたい400日前後で「1年に1回」見ることができます。
昇ってきた月の影から火星が現れる「火星食」
21日(木)の深夜、東の低空で、昇ってくる月が火星を隠す現象「火星食」が起こります。月齢は22.5、下弦の翌日です。0.3等の火星は、月の光っている縁(明縁)から月に隠され(潜入)、暗縁から出現してきます。今回の火星食は、各地の月の出の前後に起こります。そのため関東の大部分から中部、近畿、中国、四国の各地方では、火星が月に隠れた状態で昇ってきて、出現のみ地平線上で見られます。九州以西の地域では、火星の出現後に月の出となり、食を見ることはできません。日本の北東側では、地平線上に昇ってから火星の潜入が起こり、全経過を見ることができる地域もあります。ただし、極めて低い高度で起きるので、東の地平線付近まで地上の障害物や雲・霞などが無い場所と気象条件で観察する必要があります。晴れていても、低空では大気を透過する光量が減り火星が暗く見えるため、双眼鏡や望遠鏡などを使って観察する方がよさそうです。
◆7月の満月は
7月14日(木)
◆7月の新月は
7月29日(金)です