2022年4月の星空トピックス
日が暮れてまだ間もない頃、月の初めは、まだ冬の明るい星々が南から西の空で目立ち、下旬になると春の星々が南から東の空に現れます。4月下旬に夕方の西空で今年一番の観察チャンスを迎えます。明け方の東の空では、金星、火星、土星が並び、4月5日(火)には火星と土星が接近します。下旬になると、さらに木星が加わり、月が、土星、火星、金星、木星と次々に接近するなど、明け方の空をにぎやかに飾ります。
ほぼ同じ明るさの土星と火星が接近
3月中旬に、明け方の南東の低空で金星と火星が比較的近づいて見えていましたが、3月下旬になってこれに土星が加わりました。そして4月上旬には、火星と土星が接近して見られるようになります。4月5日(火)の明け方には最も近づいて見え、2つの惑星の角距離(見かけの間隔)は約20分角です。これは、満月の中に2つの惑星がすっぽりと入る程の距離です。惑星同士の接近では、明るさにかなり差のある場合が多いですが、今回は火星の明るさは1.0等、土星は0.8等と、ほとんど同じ明るさで並んで見えます。また白っぽく見える土星に対して、火星は赤みを帯びた色に見えるので、色の違いにも注目です。
これらの惑星の見える位置は低いため、観察には東から南東にかけてよく見渡せる場所がおすすめです。
太陽系空間の奥行きを感じて
空では並ぶように見える火星と土星ですが、実際には地球からそれぞれの惑星までの距離には相当大きな差があります。4月5日(火)の地球からの距離は、火星までが約2億7千万キロメートルなのに対して、土星までは約15億7千万キロメートルで、土星の方がおよそ6倍も遠くにあります。そのような太陽系空間の奥行きも感じながら、観察するのもおすすめです。
明け方の空に並ぶ4つの明るい惑星に、月が接近
明け方の空では、4月上旬から土星、火星、金星が見えていましたが、下旬になるとこれに木星が加わり、さらににぎやかになります。南東から東にかけて、空の高い位置から土星(約1等)、火星(約1等)、金星(約マイナス4等)、そして木星(約マイナス2等)の順に並ぶ光景は、とても見応えのあるものになります。
4月25日(月)から28日(木)にかけて、これらの惑星たちに月が次々と接近していく様子も観察できます。月は、25日(月)に土星、26日(火)に火星、27日(水)に金星と接近し、特に27日(水)の月は、金星のそばに輝く木星がほぼ同じ高さに見られるため、明るい3天体が目を引くことでしょう。月と木星とは28日(木)の方が近づいて見えます。月が昇ってきて見やすくなるまで少しの時間を待つことで、28日(火)も月と金星、木星の共演が楽しめそうです。4日間にわたってとてもにぎやかになる明け方の空、惑星の位置、色や明るさの違いにも注目してみましょう。
夕方の空で水星が見ごろ
水星は、太陽に最も近い惑星のため、水星より外側をまわる地球からは、とても見づらい天体の一つです。しかし、4月29日(水)前後は日の入り直後西の低空で見つけやすく、観察できる今年一番の水星を観察する絶好のチャンスとなります。
ただし、水星は低い空に見えるため、西北西の空が開けた場所で観察する必要があります。低空に雲のない、良く晴れた日が観察には最適です。しかし、夕焼けが残るほのかに明るい空で水星を探すのは少し難しいかもしれません。その時は、双眼鏡を使うと探しやすくなります。双眼鏡を使う際には太陽を直接見ないよう、陽が沈んでから観察を始めるようにしてください。
◆4月の新月は
4月1日(金)
◆4月の満月は
4月17日(日)です。