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【天体関連ニュース】

2021年11月の星空トピックス

11月は、月に関係する現象が2つ起こります。まずは8日(月)の昼間に、月が金星を隠す金星食が一部の地域を除いて起こります。白昼のため、現象自体の観察には双眼鏡か望遠鏡が必要ですが、夕方には現象直後の月と金星が寄り添って見えることでしょう。また19日には全国で部分月食が起こります。 夕方の空では、西から南にかけて金星、土星、木星といった惑星が明るく輝いています。また土星よりも遠い惑星、天王星が5日(金)に見ごろを迎えます。暗くて見づらい惑星にも注目してみましょう。

肉眼でぎりぎり見える天王星

太陽系の惑星は8個ありますが、このうち太陽に近い(地球を除く)5個の惑星、水星、金星、火星、木星、土星は、夜空で比較的明るく輝き、肉眼で簡単に見ることができます。一方で天王星は、太陽からの平均距離が土星の約2倍と遠いため、あまり明るくは見られません。11月5日に衝となり見ごろを迎える天王星ですが、その前後の最も明るい頃でも5.6等という明るさです。たいへん暗い空において、肉眼で見える限界の星の明るさが約6等ですので、天王星は肉眼でぎりぎり見える明るさなのです。

天王星の見つけ方

2021年の天王星は、おひつじ座をゆっくりと移動しているので、天王星を探すためにはまずおひつじ座を探します。おひつじ座はあまり目立たない星座ですが、明るい1等星アルデバランや散開星団のプレアデス星団(すばる)がある、隣のおうし座を目印にすると探しやすいでしょう。天王星を肉眼で探すためには、同じような明るさの星まで記載されている図(星図)と念入りに見比べなければなりません。さらに、暗い星まで見える十分に暗い空のもとで観察する必要があります。双眼鏡を使うと、肉眼で観察するよりも天王星を見つけやすくなります。

11月8日(月)の昼間に「金星食」

夕方、日の入りからしばらく時間が経つと、南西の低い空に金星が輝き始めます。11月8日(月)の夕方は、その金星に月が接近して見られます。この日の昼間には、金星が月に隠される「金星食」が起こります。食が終わって月の後ろから出てきたばかりの金星が、夕方の空で月と並んで見られるのです。月と金星との距離は、時間とともに少しずつ離れていきます。地平線に沈むまでの短い時間ですが、じっくりと観察するとその様子もわかることでしょう。印象的な光景となりそうですので、観察してみてはいかがでしょうか。

昼間に起こる「金星食」

「金星食」は、月が手前を通ることで金星を隠す現象です。月と金星は約1カ月ごとに繰り返し近づいて見られますが、地上から見る月の通り道と金星の通り道がずれているため、「金星食」はなかなか起こりません。また起こる場合も観察できる地域が限られますので、珍しい現象と言えます。今回の金星食は、国内では九州の一部や沖縄、小笠原諸島などを除いた地域で起こります。
東京では、13時46分41秒に月が金星を隠し始めます(潜入開始)。この時の金星は、月の輝いていない部分に隠されます。13時48分48秒には、金星は全て隠されてしまいますが、金星も欠けているため、これより少し前には金星が見えなくなるでしょう。
今回の金星食は昼間の現象で、肉眼で見るのは難しいと考えられます。しかし、双眼鏡や望遠鏡を用いた適切な観察方法では、見ることが可能でしょう。ただ昼間の空には太陽が強烈な光を放って輝いています。今回の金星食が起こる空は、太陽からは比較的遠い位置ですが、操作を誤るなどしてうっかり太陽を見てしまうと、目を損傷し、失明に至るなどの重大な事故につながる可能性があります。観察する場合には十分に注意を払うようにしましょう。

11月19日(金)は“たいへん深い”部分月食も

11月19日の夕方から宵にかけて、全国で部分月食が見られます。月食は、月が地球の影に入ることによって起こります。地球の影(本影)によって全て隠される「皆既月食」と、一部が隠される「部分月食」があります。今回は部分月食ですが、月の大部分が影の中に入り込みます。部分月食の始まりは、16時18.4分です。ただし、北海道や東北地方北部を除く地域では、月食の始まりは月が地平線の下にあって見られず、月が欠けた状態で空に昇ってくる月出帯食(げつしゅつたいしょく)となります。今回の月食は、とくに前半で月の高度が低いので、東の空が開けた場所で観察しましょう。

ちなみに、月が地球の影の中に入り込む程度(影で覆われる月の直径の度合い)を「食分」という数値で表します。その値が大きいほど影の中に月が深く入り込み、1.0以上で皆既月食となります。今回の月食の最大食分は0.978で、これは月の直径の97.8パーセントまで影に入り込むことを意味し、部分月食としてはたいへん大きな値です。食分の値が大きいことをしばしば「深い」と表現し、今回のような月食は「たいへん深い部分月食」と言います。
◆11月の新月は
11月5日(金)
◆11月の満月は
11月19日(金)です


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