星のソムリエがお届けする、天体コラム Vol.1『夏の星座を見てみよう』
「夏の大三角」に輝く一等星
みなさんが代表的な夏の星座と言われて思い浮かべるのは、はくちょう座とこと座とわし座ではないでしょうか?これらの星座は夏の夜中に頭の真上あたりに昇ってきて、一晩中見ることができる星座です。しかも小学生の時の理科の時間に習う有名な「夏の大三角」を形作る一等星がそれぞれの星座に含まれています。
・はくちょう座<デネブ>
・こと座<ベガ:おりひめ星>
・わし座<アルタイル:ひこ星>
デネブ、ベガ、アルタイルの一等星で夏の夜空に描かれる三角形を実際に見ると、想像以上に大きく感じられ、ほとんどの人が宇宙の広大さを肌で感じることが出来ます。これらの星座や星々を探すには、最近ではデジタルパワーを駆使すると便利かもしれません。『天文アプリ』と呼ばれるアプリをスマホにダウンロードして、スマホを星空にかざすと画面に表示された星図が方位と連動して、見ている方向の星図を表示してくれます。しかも拡大縮小表示も自由自在。この夏は天文アプリを準備しておくと、海や山などに出かけた際にとても便利で、星座たちを身近に感じられるでしょう。
おりひめ星とひこ星、実は超遠距離恋愛!?
ちなみにこのコラムを書いている日は七夕。一年で一日だけおりひめ星とひこ星がきらめく天の川を渡って逢える日ということで有名ですね。毎年テレビでも取り上げられるロマンチックな七夕のお話しは他の書籍や情報誌などにお譲りして、ここではそのおりひめ星とひこ星が物理的に離れている距離からリアルなお話しをひとついたします。
おりひめ星はこと座の一等星、ひこ星はわし座の一等星で、天空上ではお隣同士の星座に含まれます。ではこれら二つの一等星は直線ではどのくらい距離が離れていると思いますか?答えは約16光年も離れているのです。つまり宇宙で一番速いとされている光の速度でも片道16年ほどかかるのです。それを現代風に分かりやすく解説しましょう。
二人が会えるまでにかかる時間は・・・
待ちに待った七夕の日がやって来ました。そのとき、おりひめ星とひこ星はともに20歳だとします。喜び勇んで携帯電話をおりひめ星にかけたひこ星。
ひこ星:「こんにちは、おりひめ星さん。お久しぶり。元気やった?」
おりひめ星:「ええ、こんにちは、ひこ星さん。まあまあやねえ~。」
ひこ星:「今年はお好み焼き食べに通天閣に行こかぁ~」
おりひめ星:「きゃ~うれしいわ~」
と、、、ここまでの時点で会話が2往復。経過時間を計算すると、16年×4=64年。
二十歳だったラブラブの二人は、20歳+64年=84歳。
ロマンスグレーのお話しになっちゃいましたね!
コラム筆者プロフィール
村上将之
Masayuki Murakami
1963年 広島県呉市生まれ。1985年 立命館大学経営学部卒。
「星のソムリエ」「星空宇宙天文検定2級」を取得。
ネイチャーショップKYOEIにて情報企画業務やブログ制作のかたわら、「NHK学園講師」として星空講座のレクチャーや南十字星ツアーなども手掛けている。そのほか幼稚園や小学校や学習館などでも星空教室を開催。最近はふたたびバードウォッチングにもはまり、日本野鳥の会の探鳥会にも出没している。