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【野鳥関連ニュース】

野鳥図鑑〜日本を象徴する美しい鳥「タンチョウ」


「タンチョウ」は、ツル目ツル科ツル属に分類される野鳥で、北海道東部のほか、ロシア南東部・中国・韓国北部・北朝鮮に生息しています。夏には中国北東部、アムール川やウスリー川中流域で繁殖し、冬になると朝鮮半島や長江下流域に南下して越冬します。日本では一年を通して観察できる「留鳥」に分類され、冬は人里近くで冬を越し、春から秋にかけて釧路湿原や北方領土でも観ることができます。
その美しさから、日本では古来より親しまれてきた鳥で、日本を代表するエアラインの飛行機の尾翼には、「タンチョウ」をモチーフにしたシンボルが描かれ、また北海道では道鳥に指定されています。

スタイル抜群!鳥界のスーパーモデル


「タンチョウ」は日本の野鳥の中では最大級で、全長1.4m、翼を広げると2.4mもあり、体重は6~12kgにもなります。全身は白い羽毛で覆われており、目元から喉、首の部分、翼の後ろにかけては黒い羽毛で覆われています。この翼の後ろの黒い部分、一見尾羽に見えますが、実は羽のつけ根から生える風切羽。広げると真っ白な羽毛に黒い羽毛がアクセントになって「タンチョウ」の美しさが際立ちます。繁殖期にはこの風切羽を豪快に羽ばたかせ、メスにアピールするそうです。
そんな美しい羽毛に小さな頭とすらりとのびた長い首、そして黒々とした細く長い足の「タンチョウ」。羨ましいくらいスタイル抜群ですね!

「タンチョウ」の名前の由来


「タンチョウ」は、漢字では「丹頂」と書き、「丹」は赤い、「頂」はてっぺんという意味で、「タンチョウ」の頭頂部が赤いことが名前の由来です。この頭頂部の赤い部分、羽で覆われていると思っている方も多いのではないでしょうか。実は、ニワトリのとさかのように、皮膚が露出している状態で、赤いのは、皮下血管内の血液が透けて見えるため。「肉瘤」という多数の細かいイボ状の突起で覆われています。
ニワトリはとさかでメスへのアピール、体温調整を行っていると考えられていますが、「タンチョウ」にも同じ意味があるのかははっきりとわかっていません。興奮すると血流量が増えるため大きくなったり、また病気やケガなどで貧血になると色が薄くなったりするので、健康状態を知る指標のひとつでもあります。

聞けたらラッキー!!鶴の一声


「鶴の一声」という言葉があるように、「タンチョウ」は滅多なことでは鳴き声を上げず、もし鳴くことがあればその鳴き声は、「クルルォー」と、とても大きく遠くまで響き渡る声で鳴きます。
「タンチョウ」などの鶴の仲間は、「鳴管」と呼ばれる鳥類が鳴き声をあげるための器官の筋肉が、その他の鳥類に比べてとても発達しています。更に首が長いことで器官も長くなり、より大きな鳴き声になります。
また、「タンチョウ」は容姿でオスとメスを見分けるのは難しいのですが、鳴き声で見分けることができ、オスは「コー」、メスは「カッカ」と鳴きます。これは夫婦同士の会話に当たるもので、絆を深めたり、なわばり宣言をしたりしています。
また、「クルゥッ、クルゥッ」という鳴き方は、「コンタクトコール」と呼ばれていて「そろそろ帰ろう」という意味合いを含んだもので、この声が聞こえ始めると、群れとなってねぐらに帰っていくそうです。
「タンチョウ」に出会った時は、ぜひ鳴き声にも注目してみてくださいね!

家族愛溢れる「タンチョウ」の子育て


「タンチョウ」が繁殖期を迎えるのは3〜5月。一度決めた相手を生涯の伴侶としてとても大切に扱い、よほどのことがない限り、相手を変えることはありません。
繁殖相手が決まると、湿地帯の中の地面がむき出しになっている部分に枯れ草などを集めたもので巣をつくります。1度の出産でクリーム色の卵を2〜3個出産し、オスとメス交代で抱卵しながら、30日間ほどで卵は雛にかえります。残念なことに産まれた卵が全て無事に雛にかえる確率は大変低く、およそ10%程度。「タンチョウ」は天敵が多いことや、天災に弱い傾向があるため、卵からかえる前に命を落としてしまうことが多いそうです。
卵からかえった雛は、生後3日間程度巣の中で過ごし、その後、あっという間に巣立ちします。しかし、巣立ち後も母親が付きっきりで雛を守りお世話をして、父親はヒナを守ることに協力しつつ、母親のことも守る役割を担います。
家族愛溢れる「タンチョウ」の子育て。ひと冬行動を共にし、生きる術を学んだ雛は、次の春が来ると本当の意味で巣立っていきます。

「タンチョウ」は一度絶滅した!?


現在「絶滅危惧II類 」に指定されており、環境省のレッドリストにも指定されている「タンチョウ」。保護活動の歴史は明治時代に遡ります。鶴の狩猟が解禁になったことや生息地である湿原の開発により「タンチョウ」は激減、大正時代にはついに絶滅したと思われていました。しかし大正時代末期の1924年に、北海道東部の釧路湿原で十数羽が再発見され、1935年に天然記念物、1952年には特別天然記念物に指定され、国や自治体による保護施策が講じられるようになり、現在では約1800羽まで数が回復しています。
しかし個体数が回復したとは言え、生息地である湿原の面積は減少し、冬は人からの給餌に依存し生き延びている状況です。また、自動車や電柱に激突してケガをしたり、命を落とす事故など、「タンチョウ」と人との距離が近くなったことによる影響もあらわれ始めているそうです。
これからの時期、「タンチョウ」に会いに北海道へ観光に行かれる方も多いのではないでしょうか。野生の「タンチョウ」が人里に出てきて、道路を歩いて横断することもあるそうなので、車の運転には十分気をつけて、観察するときは「タンチョウ」を驚かさないようにマナーを守ってください。

そんな「タンチョウ」に出会えたよ!という方は、是非ネイチャーランドのギャラリーページにお写真をご投稿ください。お待ちしています!

◆ギャラリーページはコチラ
http://natureland-nose.com/photo/


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