野鳥図鑑〜丸い瞳の目力が魅力の「アオバズク」
「アオバズク」は、フクロウ目フクロウ科アオバズク属に分類される鳥類で、夏季に繁殖のためにやってくる夏鳥として日本全国に分布し、冬になると東南アジアへ南下して冬を越します。全長27〜30.5cm、翼を広げると66〜70.5cmほどと、鳩と同じくらいの大きさで、頭部から背面が黒褐色の羽毛で覆われており、下面の羽毛は白く、褐色の縦縞が入っているのが特徴。フクロウ科の鳥に見られる耳のような羽=羽角(うかく)のないこんもりとした頭と、黄色い丸い瞳がなんとも印象的です。
「アオバズク」の名前の由来は?
「アオバズク」の仲間には「コノハズク」や「ミミズク」など「ズク」と名前につくものが多くいます。「ズク(木菟)」とは、「木に棲む兎」という意味で、日本の古語で「フクロウ」を指します。「アオバズク」は、「青葉の萌えるころに渡ってくるフクロウ」としてこの名前がついたそうで、漢字では「青葉木菟」と書きます。名前からも夏を感じることができますね。
夫婦で支え合いながらの子育て
「アオバズク」の繁殖は、一夫一妻で配偶者が途中でいなくならないかぎり同じ相手です。樹洞や庭石の間、巣箱などに巣を作って、1回に2〜5個の卵を産み、子育てを始めます。卵はメスのみが抱き、オスは見張りをしたり、メスに餌を運んであげたりしながらメスをサポートします。約25日で卵は孵化し、本格的な子育てがスタートすると、雛への給餌はオスとメスが共同で行い、片方が雛を守り、片方が餌をさがしに行くようです。巣立ちまでは約1か月かかり、雛は巣立つと、少しずつ巣がある木から自立して周辺の林へと移動していきます。夫婦で支えあいながら、協力して行う子育て。理想的な夫婦と言えますね!
ホッホー、ホッホーと鳴く鳥の正体
夜に「ホッホー、ホッホー」と規則的に鳴いている鳥を「フクロウ」だと思っている方は少なくないのではないでしょうか。
実はこの声の正体は「アオバズク」。「フクロウ」は、太く低い声で「ゴロスケホッホー」と鳴きます。適度に低く、しっとりと響き渡るリズム感のある鳴き声に聞き入ってしまいそうな「アオバズク」の鳴き声。夜の静けさの中で耳を傾けてみると、もしかしたら聞こえてくるかもしれませんよ?
なぜ絶滅危惧種に?
「アオバズク」は絶滅危惧種となっています。人間が森林を伐採するなど環境破壊を行ったり、排気ガスなどで地球温暖化が進んだりと、「アオバズク」が生きられる場所が消失し、悪化している事が影響していると考えられています。また、「アオバズク」を観察したり撮影したりする人が増えたことから、繁殖を阻害する想定外の事例が発生している地域もあるようです。
エコ活動の声が高まる現代、私たちが住む地球を守るためにも、個人でできることから始めたいですね。そして、「アオバズク」に会いに行く時は、鳥たちを驚かさないようにマナーを守って観察しましょう。
そんな「アオバズク」に出会えたよ!という方は、是非ネイチャーランドのギャラリーページにお写真をご投稿ください。お待ちしています!
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