野鳥図鑑~かつては益鳥だった「ムクドリ」~
スズメ目ムクドリ科に分類される「ムクドリ」は、全長約24cm、翼開長40cmほどで、スズメより大きくハトより小さいサイズの鳥です。体色は全身褐色で、頭は黒褐色、額と頬、腰、羽の裏側は白くなっていて、目から頬にかけて入る白斑と嘴の色は個体差があり、年齢を重ねるごとに変化していきます。黄色い嘴と足、尾が短いのも特徴です。
「ムクドリ」は東アジア一帯だけに分布している鳥で、日本では、九州以北のほとんどの地域で見ることのできる留鳥ですが、北海道などの寒冷地では冬に南へ移動するため夏鳥です。あらゆる場所に生息していることから、街路樹や電線に留まる姿や群れで飛ぶ様子を見かけることも多く、比較的身近に見られる鳥です。
まるで宝石のような美しい卵
「ムクドリ」の繁殖期間は、3月下旬から7月までで、年に1、2回繁殖期があります。一夫一婦制で、建物の軒下や樹洞に、枯草、羽毛、獣毛、落ち葉などで巣を作ります。雌雄で抱卵し約12日で孵化、その後23日で巣立ちますが、1ヶ月間は親と共に行動しています。「ムクドリ」の卵は、エメラルドグリーンでとても綺麗な色をしているのをご存じですか?「ムクドリ」は、樹の上に巣を作るので、青空と同化させ天敵から身を守るため、という説があるようです。こんな綺麗な卵を見つけてしまったら、思わず触ってしまいそうですが、野鳥の巣や卵は原則触ってはいけません。そっと見守ってあげてくださいね。
大好物が名前の由来
「ムクドリ」は雑食性で、穀物や白菜などの野菜、ミミズ、両生類や昆虫などを食べます。その中でも好物が椋木(ムクノキ)の実です。椋木は落葉高木のことで、4月から5月になると小さな花を咲かせ、その後にできる実がムクドリたちは大好き。この実を好んで食べていたことから「ムクドリ」と呼ばれるようになったと言われています。
その他にも、桜の実、エンジュなどの木の実、梨、桃、葡萄、りんご、柿を好んで食べますが、柑橘系の果汁など、すっぱいものは苦手なようですね。
自らの命を守る行動が「害鳥」とされる結果に・・・
初夏から秋にかけて大群の鳥を目にしたことはありませんか?その正体は「ムクドリ」です。「ムクドリ」は大群になって市街地周辺にある樹木の上をすみかにする生態があり、朝は数十羽で行動していますが、夕方になると10㎞以上の範囲から集まってきて、最終的には何千羽という大群になります。
集団でねぐらを作る理由としては、敵から身を守るための防衛本能で、大きな群れをなして空を旋回するのも、狙った樹木が安全かどうか見極めるための行動だと言われています。また、寒さをしのぐための防寒対策にもなっているとか。しかし、「ムクドリ」が自らの命を守るためのこれらの行動によって、騒音、糞などによる被害が全国各地に拡大しており「害鳥」に区分されてしまっている事実があります。
かつては、農作物につく害虫をよく食べることから「益鳥」とされていた「ムクドリ」。土地の開発により本来の生息環境から追われ、市街地周辺にも棲みつくようになったことを考えると、少々、気の毒な気もします。
「ムクドリ」の隠れた才能!?
大群での鳴き声は騒音レベルで、うるさいイメージの「ムクドリ」ですが、実はあまり知られてない可愛らしい特技があるんですよ。それはなんと、人の声や音楽を真似ることで、オウム科の鳥にも匹敵する能力だそうです。あの偉大な作曲家モーツァルトもペットとして「ムクドリ」を飼っていて、モーツァルトの名曲を口ずさんでいた、というエピソードが残されているそうです。
世間からは迷惑な鳥とされている「ムクドリ」ですが、なんとか人間と平和に共存していける方法を見つけていけたらいいですね。
そんな「ムクドリ」に出会えたよ!という方は、是非ネイチャーランドのギャラリーページにお写真をご投稿ください。お待ちしております!
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