野鳥図鑑〜鳴き声や姿、行動までも愛嬌たっぷりの「ウソ」
全長16cm前後、翼を広げたときの大きさは26cmほどでスズメよりもやや大きな「ウソ」は、スズメ目アトリ科ウソ属の漂鳥です。ぷっくりとした体に大きな頭、太くて短いくちばしが特徴的です。
日本では本州中部以北と北海道の山地の針葉樹林で繁殖し、冬には南下し平地の林でも見られます。季節によって生息地を変えながらも、一年を通して見られる漂鳥ですが、冬になると海外から渡来してくることも確認されています。
名前の由来は口笛のような鳴き声にあり
「ウソ」は『フィーフィー』や『ヒュー』などと鳴き、このやわらかな口笛に似た鳴き声こそが名前の由来。口笛の古語である「オソ」から「ウソ」になったのでは?と言われています。
口笛=ウソ、そういわれてみれば、嘘をつく人が口笛を吹く描写を見ることもありますが、「ウソ」が鳴く時は決して「嘘」をついたり何かを誤魔化したりしているわけでありません。
ちなみに、「ウソ」は「琴弾鳥(ことひきどり)」と呼ばれることもあります。これは両脚を交互に上げ下げしながら鳴く様子が琴を弾いているように見えることに由来しています。
フォルムも動きもキュートでたまらない
←オス
←メス
「ウソ」の体色はオスとメスで違いがあり、オスは体色が灰色で翼と尾羽が黒く、喉から頬にかけて赤いのが特徴。一方メスは、体色は褐色部分が多く、喉から頬の赤色はオスに比べて控えめにほんのり赤いといった印象です。
ぽっこりお腹に大きめの頭、全体的にずんぐりとしたフォルムに短い足がなおさらかわいさを際立たせる「ウソ」は、そのフォルムだけでなく動きも愛嬌たっぷり。
堅い木の実をすり潰して食べるのに適した太く短いくちばしを使って、パチッ、パチッと音を立てて食べている場面に出会うこともしばしば。くちばしが他の鳥よりも短いせいか、木の実に一生懸命顔を近付けて食べる姿にはどこか必死さが感じられます。短い足で木の枝に踏ん張って食べているようにも見えて、それがまたキュートでたまりません。
春の訪れを告げる鳥
「ウソ」は、木の芽や実、昆虫、果実などを食べます。ウメやモモ、アンズなどの果樹の蕾、桜の花芽を好み、春先には、群れをつくってサクラ並木や果樹園などにやって来て、せっかくふくらみかけた花の蕾を食べてしまうため、少々やっかいな存在でもあります。
ただ、公園や桜の名所で澄んだ鳴き声とともにその姿を見かけるようになれば、春がそこまでやってきているという証。警戒心が低く、動きもゆっくりしているため、一度見つけるとゆっくり観察することもできます。
そんな「ウソ」に出会えたよ!という方は、是非ネイチャーランドのギャラリーページにお写真をご投稿ください。お待ちしています!
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