野鳥図鑑〜黄金の瞳が勇ましい冬の使者「キンクロハジロ」
黄色の目と黒々としたボディに、アクセントの白いお腹が印象的な「キンクロハジロ」は、カモ目カモ科ハジロ族に属するカモの仲間の鳥です。シベリアやヨーロッパ北部などで繁殖し、冬になるとアフリカの北部・ヨーロッパ・北東アフリカ・西アジア・インド・中国東部などの暖かい場所に移動して冬を越します。日本では九州より北に飛来する冬鳥ですが、一部少数、北海道で繁殖をします。そんな「キンクロハジロ」は常に群れで行動し、春の渡り期には、数千から数万羽の大群になると言われています。繁殖もコロニーと呼ばれる集団繁殖地で行います。
採餌姿はまるで水鳥界のハンター
カモは、水面に浮いた植物などを食べたり、逆立ちして首の届く範囲の水中の餌をとる「水面採餌ガモ」と、水に潜って餌をとる「潜水採餌ガモ」に分けられますが、「キンクロハジロ」は潜水採餌ガモで、ダイバーのごとく、水深10mまで潜水することができると言われています。湖沼・河川・河口などの淡水区域に生息していて、水生植物・昆虫・甲殻類・軟体動物・魚類やその卵・カエルなどを食べる雑食性です。貝類の殻やカニの甲羅などを吐き出すそぶりがなく、消化器官が他の種よりも発達しているのでは、と考えられています。
日中は休息していることが多く、首を曲げ、羽の中にくちばしを入れるという、独特の姿勢で休んでいます。暗くなると餌場に飛んでいき、水面を動き回りながらたびたび潜水するなど、活発に行動します。その様子はとてもアクティブで、まるで水鳥界のハンターのようです。
「キンクロハジロ」と言えば・・・かっこいい冠羽
「キンクロハジロ」は、全長が40~47㎝、翼を広げると67~73㎝ほどの大きさになり、他のカモと比べるとずんぐりした体型をしていて頭も大きいです。虹彩が黄色をしていることから「キン」、全身が黒いことから「クロ」、翼の上部分に白い斑紋が入ることから「ハジロ」を取り、「キンクロハジロ(金黒羽白)」と名前がつきました。そんな「キンクロハジロ」には、「冠羽」と言って頭の上に長く伸びた羽があるのが特徴的です。まるで、まげ姿のお侍さんのような勇ましい姿。この「冠羽」は、メスにもありますがオスに比べると短くなっています。また、オスのお腹は白、メスは褐色であり、オスとメスを見分ける最大のポイントと言えます。
そっくりな「キンクロハジロ」と「スズガモ」を見分けるポイント
←キンクロハジロ
←スズガモ
カモの仲間で「キンクロハジロ」と同じ潜水採餌ガモには、容姿がそっくりな「スズガモ」がいます。淡水が好きな「キンクロハジロ」に対して海水が好きな「スズガモ」ですが、海水と川の水が入り混ざったような汽水域では、同じ空間で泳いでいる風景を見ることができるようです。
見分けるポイントとしては、オスの「スズガモ」は冠羽が無く、背中の羽が白いので、冠羽の有無と背中の羽の色で見分けることができます。しかし、メスの場合は見分けるのが困難なので、その場合、一緒にいるオスを確認することが見分ける手がかりになるかもしれません。
白と黒のツートンカラーに金色の瞳がよく映える「キンクロハジロ」、日本では冬の間しか観察する事ができませんが、水辺に行く機会があればぜひ観察してみてくださいね。
そんな「キンクロハジロ」に出会えたよ!という方は、是非ネイチャーランドのギャラリーページにお写真をご投稿ください。お待ちしています!
◆ギャラリーページはコチラ
http://natureland-nose.com/photo/