野鳥図鑑〜昔話にも登場する日本の国鳥「キジ」
「キジ」は、キジ目キジ科に属する野鳥で日本の国鳥であり、桃太郎をはじめとした物語や、和歌、俳句、ことわざにも多く登場する有名な鳥です。日本では、もともとユーラシア大陸に生息していた「コウライキジ」が北海道、対馬、南西諸島などに狩猟目的で放されたものが野生化したといわれています。現在では、本州、四国、九州地方で留鳥として分布していて、山間部や草原や平地、林、農耕地のほか、公園や市街地などにも生息するといわれています。
オスとメスを見分けるポイント
「キジ」の大きさは、オスが80㎝、メスが60㎝ほどで、メスはオスよりも長い尾っぽを持っており、飛んだときに長くしなやかで優雅に見えます。このように「キジ」のオスとメスでは見た目が随分と違うのが特徴です。その中でも明らかな違いは、色や模様。オスは黒が基調の体に色鮮やかな緑や青の線や模様が入ったボディーと目の周りには真っ赤な模様があるのが特徴で、一方メスは、オスに比べてやや地味で茶色基調のボディーに斑点があるのが特徴です。
「キジ」のおもしろくて不思議な生態に注目
「キジ」の繁殖期は、メスが積極的にオスに近づき、気に入ったオスと交尾をするという鳥には珍しい乱婚性をとっています。オスは訪れたメスに対して、目の周りの赤い皮膚を大きく膨らませ、自分の縄張りを強調するために「ケーン」と甲高い声で鳴いたあと、広げた羽を胴体に打ち付けて羽音を出します。これは母衣打ち(ほろうち)と言って、この繁殖期独特の行動でメス達に自分の存在をアピールしています。
また、「キジ」の足の裏には敏感な感覚機能があり、地面のわずかな振動も感じることができることから、「キジ」には地震探知能力があるとも言われています。足の裏が敏感なためか、飛ぶことよりも歩き走ることが得意です。
国鳥に選ばれたのは桃太郎のおかげ!?
「キジ」は、何よりその知名度を高めているのは昔話の「桃太郎」。物語のなかで桃太郎のお供をして鬼退治に向かう3種の動物のうちの一種で、小さな子ども達にも知られる存在です。
「キジ」が日本の国鳥として認められたのは、1947年3月 日本鳥学会において国鳥選定の議論が行われた時のことで、当時は他の候補としてヤマドリ、鶯、ハトなども名を連ねていたようです。
キジが国鳥に選ばれた理由は、戦後、520種類の野鳥の中で、日本国有の鳥はヤマドリとキジだけだったこと、キジは渡り鳥ではなく本州、四国、九州の全国に分布していること、オスの姿が優美で体が大きく、肉の味も良く狩猟するのにも良い鳥だということ、古事記や日本書紀などに登場し馴染があること、オスの飛ぶ姿が力強く、メスは、火山の火が巣に燃え移っても雛を守ろうとした強い母性愛があること、などから、キジは国鳥にふさわしく保護鳥として認められたと考えられます。
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