野鳥図鑑〜スラリと脚長、可愛くもスタイリッシュな「イカルチドリ」
「イカルチドリ」はチドリ目チドリ科に属する体長21㎝ほどの野鳥です。尾羽が長く止まっているときは、翼よりも尾羽の先端が後ろの方にあり、くちばしから眼、側頭部にかけての筋模様、額の斑紋が特徴的です。常に体は水平の状態で、スラリと脚長な立ち姿は可愛らしくもありスタイリッシュな「イカルチドリ」。本州、四国、九州、北海道、南西諸島に生息する留鳥ですが、北の地域にいるものは冬になると暖かい地域へ移動する漂鳥で、河川の中流から上流に生息しています。
育児はやることがたくさん!夫婦で協力して子育て
「イカルチドリ」の繁殖期は3~7月で、オスが河川の中流域にある河原などの砂地や草地に、穴を掘って小さい石や枯草を敷いて巣を造ります。「ピヨ、ピヨ」と大きな声で鳴きながら飛び回る姿は、ちょうどこの時期の求愛行動の時によく見られます。パートナーが決まると巣に卵を3~4個産みますが、卵のサイズは36㎜x26㎜ととても小さく、青地に褐色の斑点模様はまるで小石のようです。そんな卵をオスとメスが交代で27日間程温め、暑い日などは風通しをよくするために翼を広げたり、体を濡らして卵を冷まします。孵化すると、親の後ろを追って歩くヒナの可愛い様子が見られます。まだヒナが小さいうちは、オスとメスが交代で体の下に抱き、暑さや雨からヒナを守ります。外敵が巣に近づくと親は翼をバタつかせ、傷ついたふりをしながら巣を離れて外敵の注意を巣からそらし、巣とヒナを命懸けで守るのです。
見分けるのは至難の業?!「イカルチドリ」と「コチドリ」
「イカルチドリ」と見分けが難しいほどそっくりな鳥が「コチドリ」です。見分けるポイントとしては、身体の大きさ。「イカルチドリ」は「コチドリ」よりも一回り大きな身体をしていて、クチバシと脚が長く、すっきりとした体型をしています。また、目の縁のアイリングがはっきりと黄色に見えるのが「コチドリ」の特徴です。「イカル」は古語で「大きい、厳しい」という意味があり、姿のよく似ている「コチドリ」よりも大きいことから付けられたのではないかと言われています。名前の由来になるほど「イカルチドリ」と「コチドリ」はそっくりです。
↓「イカルチドリ」
↓「コチドリ」
野鳥と人間が共存できる環境に・・・
「イカルチドリ」は日本の多くの地域で絶滅危惧Ⅱ類、もしくは準絶滅危惧種となっています。長年、人間の住みやすい環境を作ることが優先され、野鳥をはじめとする動物たちが生きていくための自然が失われてきました。私たちが普段何気なく使っているものや、食べているものに疑問を持ち、考えてみることが自然や環境問題を考えるきっかけになるかもしれません。一人一人の意識が野鳥を守ることに繋がります。
「イカルチドリ」に出会えたよ!という方は、是非ネイチャーランドのギャラリーページにお写真をご投稿ください。お待ちしております!
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