能勢ネイチャーランド

宮脇先生の野鳥コラムVol.16 頭の菊の花がチャームポイント~キクイタダキ~

以前、私の住む大阪・能勢の地域の方から、「先生、先ほどキクイタダキを見ました。頭の上が菊の花びらを乗せたように黄色くて、小さな鳥でとっても可愛かったですよ。見たことありますか?」との電話連絡があった。

この鳥の特徴を、ものの見事に言い表した電話内容に私は圧倒されてしまい、つい「良かったですね。菊の紋章の鳥が見れて。きっと来年は良い年になりますよ」と。

野鳥の中でもっとも小さな鳥

キクイタダキは、スズメ目メジロ科のメジロよりもひと回り小さな鳥。背面は緑褐色で、翼の羽縁は白くて閉じると幅広の縦縞模様になり、眼の周囲の白色と共に目立っています。その名の通り、頭の中央部に黄色の羽毛があり、頭の上に菊の花を乗せた状態に見えます。オスには、頭の中央の黄色に橙色の斑があるが、野外では見えにくい。体重は約5g、全長10㎝ほどで日本の野鳥の中でミソサザイやヤブサメ、センダイムシクイなどと並んで最も小さい鳥と言われています。

ほかの野鳥とも仲良し

平安時代から「まつむしり」の名で知られていて、室町時代からキ「クイタダキキ」と呼ばれていたようです。「まつむしり」とは、松林でよく採餌していることによって、そのように呼ばれていたのでしょう。キクイタダキは、寒い今の季節に田尻でもたまに見られ、食べ物の少ない季節は、エナガやメジロ、シジュウカラ、ヤマガラなどと一緒になって群れで移動することが多く見られます。これを「混群」といい、群れで移動するほうが食べ物を見つけやすいという野鳥の知恵なのかもしれません。

私もこの日本で最小の野鳥を見たときの感動は電話をくれた方と同じで、感動を共に分かち合える素晴らしさを改めて思い知らせてもらった突然の電話でした。

※参考文献:「田尻の野鳥」 宮脇 敏徳(サンクチュアリ能勢代表)

コラム筆者プロフィール

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サンクチュアリ能勢代表
宮脇 敏徳 先生
大阪府能勢町の小学校教員・校長を歴任した後、大阪府鳥獣保護員、日本野鳥の会大阪支部会員、NPO法人シニア自然大学校会員として探鳥活動の指導・啓発、自然保護活動に参加。弊社開催の里山ハイキングやバードウォッチングのナビゲーターとして、初心者にも解りやすく野鳥の魅力を教えてくださる野鳥の案内人。


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