能勢ネイチャーランド

【野鳥観察基礎知識】

宮脇先生の野鳥コラムVol.15人懐っこくて蜜が大好き~ヒヨドリ~

「ピィッ、ピィッ、ヒィーヨ、ヒィーヨ」と鳴き、波をうつように飛ぶ姿(波状飛行)が特徴のヒヨドリ。セミが盛んに鳴く夏場であっても、この鳥の鳴声は決してセミに負けることはない。ヒヨドリは、以前は冬鳥で秋から春にかけてしか見かけなかったことから「アケビが熟すと、ヒヨドリが渡ってくる」といったことわざもあったほどだが、大阪・能勢の田尻周辺では一年中その姿を確認することができる。

ヒヨドリは体長約27.5cm、翼開長40cmほどの大きさで、ツグミやムクドリよりもスリムな体形をしている。体色は全身灰色をしており、お腹にある白と灰色の点々模様が特徴のひとつ。翼と尾羽は灰褐色で頭は青灰色で毛が立ち上がって見える冠羽がある。また、目から耳の周りが茶色くなっているのも見分けるポイントになる。
平安時代、ヒヨドリは“ヒエドリ”と呼ばれ、貴族の間で飼育が流行したほど賢くて人に懐きやすい鳥で、現在のヒヨドリと呼ばれるようになったのは室町時代からとされている。“ヒエドリ”の語源を調べてみると、ヒエ(稗)を食べるからと言われているが、実際にはヒエ(稗)は食べないようだ。おそらく、鳴き声の「ヒィーヨ」にヒエ(稗)の字を当て、『ヒヨドリ』と呼ばれるようになったのではないかと推測される。

ヒヨドリはアケビをはじめとする果実や花の蜜を好み、椿や桜に顔を突っ込んで蜜を吸っている姿を見かけることがある。ただ、エサがなくなる冬場になると、羽田に植えてあるハクサイやキャベツを片っ端から食べてしまうことから、現在は狩猟鳥に指定されている。餌台に切ったミカンやリンゴを置いておくと、喜んでやって来たりする。彼らにはミニサンクチュアリが必要な時代なのかも知れない。

※参考文献:「田尻の野鳥」 宮脇 敏徳(サンクチュアリ能勢代表)

コラム筆者プロフィール

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サンクチュアリ能勢代表
宮脇 敏徳 先生
大阪府能勢町の小学校教員・校長を歴任した後、大阪府鳥獣保護員、日本野鳥の会大阪支部会員、NPO法人シニア自然大学校会員として探鳥活動の指導・啓発、自然保護活動に参加。弊社開催の里山ハイキングやバードウォッチングのナビゲーターとして、初心者にも解りやすく野鳥の魅力を教えてくださる野鳥の案内人。


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