能勢ネイチャーランド

【野鳥観察基礎知識】

宮脇先生の野鳥コラムVol.7「美しいコントラストが魅力♪~セグロセキレイ~」

能勢・田尻界隈を歩いていると、「ジッジジッ、ジージー、ジュジュン」などと鳴きながら、頭と背中が黒色、腹が白色のコントラストが鮮やかなスマートな鳥に出会える。これは「セグロセキレイ」という鳥で、黒と白の二色だけの色彩がとってもシックで粋に見える。

日本で繁殖する日本固有種

宮沢賢治の短編童話「革トランク」の中では、『白と黒のぶちになったセキレイが水銀のような水とすれすれに飛びました』と美しい描写で登場しますが、セグロセキレイは水辺を代表する鳥でもあります。大阪・能勢ではごくありふれた鳥ではありますが、実は日本以外(一部、ユーラシア大陸の北東部を流れるウスリー川南部と朝鮮半島で繁殖記録はある)では見られない日本固有種であることから、日本を訪れる外国人のバーダーにとっては憧れの鳥でもあります。

日本で最初に文献に現れる鳥

江戸時代中期の語学者である新井白石は、『東雅』という本に「陰陽二神この鳥を見て人の道を知り給いしと見えたり、さらばこの国の鳥の名、これより先なるものあらじ」と書いている。セキレイは、日本で最初に文献に現れる記念すべき鳥であるとお墨付きの鳥でもある。

仲間で住み分けをするセキレイ

セグロセキレイの仲間には、キセキレイとハクセキレイがいます。名前のとおり、セグロセキレイは頭から背と胸が黒色で、キセキレイは胸から腹にかけて黄色、ハクセキレイは頭から背が黒色か灰色、腹と翼が白色です。

↑セグロセキレイ

↑キセキレイ

↑ハクセキレイ

この三種のセキレイは渓流に沿って生息するものが多く、川の上流部にキセキレイ、中流部にセグロセキレイ、下流部にハクセキレイといった具合に住み分けされています。私の住む能勢町ではキセキレイとセグロセキレイが多く見かけられるが、ここ数年前から、ハクセキレイの姿がよく見かけるようになった。ハクセキレイが生息分布を拡大してきているのかも知れない。
いずれにしても、この三種のセキレイ、その長い尾を上下させる愛らしい姿は、まるでタクトをふるう渓流の名指揮者といったところでしょうか。

※参考文献: 「田尻の野鳥」 宮脇 敏徳(サンクチュアリ能勢代表)

コラム筆者プロフィール

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サンクチュアリ能勢代表
宮脇 敏徳 先生
大阪府能勢町の小学校教員・校長を歴任した後、大阪府鳥獣保護員、日本野鳥の会大阪支部会員、NPO法人シニア自然大学校会員として探鳥活動の指導・啓発、自然保護活動に参加。弊社開催の里山ハイキングやバードウォッチングのナビゲーターとして、初心者にも解りやすく野鳥の魅力を教えてくださる野鳥の案内人。


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