宮脇先生の野鳥コラムVol.3「シジュウカラにまつわる言い伝え」
秋の深まりとともに木々の葉が落ち、鳥たちの姿が眺めやすくなった今日この頃。私の住む能勢では「ツピツ」「ツーツー」「ジュクジュクジュク」と言う鳴き声が聞こえてくるようになりました。これは、シジュウカラの「地鳴き」で、見た目はスズメよりも小さな体で頭と首が黒色をしていて頬にある白い部分がよく目立つ鳥です。森や林を主なすみかにしていますが、人家のまわりでよく見られる鳥です。最大の特徴が胸から腹にかけてネクタイのように黒い帯があるため、別名「ネクタイ鳥」とも呼ばれています。このネクタイ部分でオス・メスを見極めることができ、太いのがオス、細いのがメスです。
シジュウカラを捕まえると、飯びつがシジュウカラ!?
「シジュウカラを捕まえると、飯櫃(めしびつ)が始終空(シジュウカラ)になる」。これは、千葉県に伝わる俗信(言い伝え)で、鳥の名前と「始終空になる」が掛け言葉になっています。また、鹿児島県では「シジュウカラを捕るとその家は貧しくなる」、佐賀県では「シジュウカラを捕れば40まで、ゴジュウカラを捕れば50までして生命はない」との言い伝えが残っているそうです。シジュウカラは人間に何の害も与えないばかりか、むしろ害虫を食べてくれる益鳥です。昔の人は、羽や羽毛を生活に役立てていましたが、こんな言葉でシジュウカラを捕まえることを戒め、鳥と共存していたことがこれら言い伝えからも垣間見ることができます。
さて、現代の人間はどうなのでしょうか?
※参考文献: 「田尻の野鳥」 宮脇 敏徳(サンクチュアリ能勢代表)
コラム筆者プロフィール
サンクチュアリ能勢代表
宮脇 敏徳 先生
大阪府能勢町の小学校教員・校長を歴任した後、大阪府鳥獣保護員、日本野鳥の会大阪支部会員、NPO法人シニア自然大学校会員として探鳥活動の指導・啓発、自然保護活動に参加。弊社開催の里山ハイキングやバードウォッチングのナビゲーターとして、初心者にも解りやすく野鳥の魅力を教えてくださる野鳥の案内人。